ブレーキの種類 ロッド式・キャリバー・サイドブル・センターブル・U
自転車のブレーキにはいろいろな種類がありますが、まずリムブレーキの ロッド式リムブレーキ、キャリパーブレーキ、サイドプル・キャリパーブレーキ、センタープル・キャリパーブレーキ、Uブレーキについて説明いたします。
【リムブレーキ】
自転車のブレーキの中でもっとも古くから普及し、現存している形がリムブレーキです。
左右のブレーキシューを車輪のリムに押し付けることで制動力を効かせます。
リムブレーキは、種類がたくさんあります。
それぞれについて説明していきましょう。
《ロッド式リムブレーキ》
もっとも古い形態のリムブレーキは、ロッド式リムブレーキです。
安全型自転車に初めて取り付けられ、英国式ロードスターの時代に規格化されました。
ロッドはワイヤーのような高度な生産設備を必要とせずに、使用過程での劣化も起きにくいため、
補修部品の入手の困難な低開発地での酷使に耐えることができる反面、組み立て工数が多くコスト高なうえ、重量が重くなり、
車体設計の自由度も低いために、現在では全くと言っていいほど使われていません。
完全に過去のものとなっています。
ブレーキシューが取り付けられた馬蹄型のブレーキアーチが金属棒(ロッド)でつながっていて、
ブレーキレバーを作動させると、てこの原理でブレーキアーチが上に動き、
その結果リムにブレーキシューが押し付けられる構造になっているのが特徴です。
この際、他のリムブレーキがリムの側面にシューを押し付けるのとは違って、
リムの内周にシューを押し付けるのが特徴的です。
あまり強い制動力は得られず、この点を改善する手段として、
ロッド式のセンタープル・キャリパーブレーキ(後述)が一部の軽快車に使われたこともあります。
日本では近年まで実用車の前輪用として細々と販売されてきましたが、
2008年現在、国内でこの形式のブレーキを備えた自転車を販売する大手メーカーはブリヂストンサイクルただ1社のみとなり、
いよいよ絶滅に瀕している状態です。
《キャリパーブレーキ》
ロッド式リムブレーキの後に開発されたブレーキで、誕生は1900年代まで遡り、
当初は安全型自転車の前輪用ブレーキとして開発されました。
最も古い歴史を持つ、現在一般に広く販売されている自転車用ブレーキです。
「キャリパー」の名の由来は、 機械工作用の計測器の一種である「カリパス (calipers)」に似ていることから来ていて、 特に「外パス」と呼ばれるタイプに類似しています。
基本構造は、左右の独立したブレーキアーチが、交差する形で軸に固定されています。
それぞれのアーチから伸びるアームの間隔を引き絞ることで、
アーチの下端に取り付けられた一対のブレーキシューの間隔が縮まり、車輪のリムを挟むようになっているのが特徴です。
アームを引き絞る手段として主にブレーキワイヤーが用いられますが、 特に現在主流となっているサイドプル方式(後述)においてはワイヤー以外に余計な部品を必要としない利点があり、 またワイヤーとの組み合わせでなければシステムが成立しないこともあって、 このブレーキの普及はワイヤー式ブレーキの普及と軌を一つにしました。
前輪用と後輪用とでは、同じ製品の中でも詳細が少し異なります。
一部の例外を除いて、前輪用はフロントフォークのフォーククラウンに、
後輪用は左右のシートステイを結ぶブリッジ上に開けられた穴を貫通する形でねじ止めされますが、
どちらも厚みが違うので、貫通ボルトの長さが異なります。
また、通常は前輪用と後輪用とで車輪の回転方向に対するブレーキ本体の取り付け方向が逆になるため、
ブレーキシューに方向性がある場合は、その取り付け方向が本体に対して前後で逆になります。
構造によって「サイドプル」と「センタープル」に区分されます。
また、それぞれが更に細分されます。
[サイドプル・キャリパーブレーキ]
シングルピボットとダブルピボットにわけられるため、全体として3種類に区分されます。
また、各種類ともに、用途によってサイズのことなる物があり、サイドプルには左引きと右引きがあります。
ロッド式リムブレーキに代わる形で現れました。
ワイヤー式リムブレーキの中で最も古い形態です。
かつてロードバイクのブレーキの主流でしたが、
現在は、シングルピポッド・サイドプル方式の改良型であるダブルピボットのものが多いです。
でも、ママチャリの前輪には現在もシングルピポッドが多く使われている他に、
カンパニョーロ社のロードバイク用ブレーキの後輪用はシングルピポッドになっています。
●シングルピボット
サイドプルの基本的な形態です。
1970年代から1980年代にかけて、ロードレース用のブレーキといえばこのタイプでした。
現在では主にシティサイクル等の前輪ブレーキとして使われています。
安価な自転車用のブレーキですが、ダブルピボットよりも軽量なため、
例外的にレース用の高級なシングルピボットも少数ながら残っています。
(カンパニョーロ社のRECORDとChorusのリア用ブレーキがその一例。リアはフロントほどの制動力を必要としないためです)
制動力がダブルピボットに比べると弱く、
左右のブレーキアーチとブレーキ本体がまとめて一本のボルトで固定されているので、動作のバランスにやや難があります。
安価なものだとバランスの悪さから片効き状態になりやすい傾向がありますが、
品質の高い製品なら、適切な整備によって片効き解消は可能なので、必ず片効きが起こるわけではありません。
●ダブルピボット
デュアルピボット(dual pivot caliper brake)とも呼ばれます。
現在スポーツサイクルの分野では「キャリパーブレーキ」と呼ばれるものはこのタイプを指す事が多いです。
古くから発明はされていたものの、シングルピボットよりも複雑な構造のために、
精密な加工技術を用いなければ不具合を生じやすく、その存在は長い間忘れ去られていました。
その後、1980年代にシマノ社が再発見し、現代の技術で蘇らせて普及させたということです。
以来、ロードレース用のブレーキにおいてはこの形式が主流となっています。
近年、高品質なシティサイクルや、電動アシスト自転車にも採用が広がっている現状です。
シングルピボットと基本的な原理は同じですが、決定的な違いは、左右のブレーキアーチの作動軸が独立している事です。
この比率が大きくなることで、軽い操作力で十分な制動力が得られるようになって、
シングルピボットで起こりやすかった片効きも少なくなりました。
制動力はロードバイクには過不足無い程度あり、調整も比較的容易です。
●左引きと右引き
ロードバイク用のサイドプルは、ワイヤーが繋がるアームが本体の向かって左に付き、
シティサイクル用では右に付くものが多いです。
これはロードレースの盛んな欧州では前輪のブレーキを左手で操作するのに対し、
日本では右手で操作するためです。
なぜなら、ブレーキレバーからブレーキ本体へのワイヤーの流れを自然なものにするためには
アームの位置も逆にせざるを得ないからです。
日本国内で組み付けされるロードバイクの場合、ワイヤーの取り回しが少々不自然になりますが、
右手で前ブレーキを引くように取り付ける業者が多いです。
[センタープル・キャリパーブレーキ]
センタープル・キャリパーブレーキ(center pull caliper brake)とも呼ばれ、
比較的古くから使われていたタイプのブレーキですが、現在はUブレーキと呼ばれる派生型がBMXに使われるのが需要のほとんどを占めています。
過去にロードレーサーやスポルティーフに広く用いられた伝統的なセンタープルブレーキと、
マウンテンバイク用ブレーキとして開発され、その後BMX用として普及、発展したUブレーキとに大別されます。
基本構造は、前はフロントフォーク、後ろはシートステイもしくはチェーンステイに直接接合された専用の台座、
または台座を持つアダプターを介して装着されます。
この台座はVブレーキのそれと似ていますが、台座とリムの位置関係が異なり互換性はありません。
ブレーキ本体は「く」の字形のアームが2本重なって逆U字形をなしています。
アームの中央はボルトでブレーキ台座に固定され、ここがてこの原理で動くアームの支点となります。
それぞれのアームの上端にはアーチワイヤーという短いワイヤーの両端が固定されていて、
アーチワイヤーは中央部でちどりと呼ばれる部品を介し、ブレーキレバーから出た1本のメインワイヤーに繋がる中央引きの形が基本。
これがセンタープルの名の由来となっています。
なお、カンチブレーキもセンタープルの一種とも言えますが、混乱を避けるために、カンチブレーキをセンタープルと呼ぶことは通常はありません。
ブレーキレバーを握ることによってメインワイヤーが引っ張られると、これと連動しちどり、 続いてアーチワイヤー、ブレーキアームが引っ張られ、ブレーキシューがリムに押し付けられてブレーキがかかる仕組みになっています。
ただしBMXの前輪に使われる場合は、横方向から直接アームを引き絞る形をとります。
●伝統的センタープルブレーキ
1950年代から1960年代後期にかけて、ロードレーサーの世界で主流を占めたブレーキです。
当時のサイドプル・キャリパー・ブレーキよりも、大幅に軽い操作力で充分な制動力が得られることが評価されました。
当時の主要なメーカーとして、フランスのMafac、スイスのWeinmann、イタリアのUniversal が知られています。
1960年代後期以降、Campagnolo社が高品質なシングルピポッド・サイドプル・キャリパー・ブレーキを製造、販売し始めます。
改良によって必要充分な制動力が得られるようになり、限界領域での微妙なコントロール性に優れ、
アウター受けやちどりやアーチワイヤーといった付属部品の必要が無い同社製のサイドプル式に人気が移り、
このためロードレーサーの分野ではセンタープルは退潮に向かいます。
その後も1980年代末ごろまでは、スポルティーフなどの快走型ツーリング車には使われていましたが、
マウンテンバイクやロードバイクの流行により伝統的なツーリング車自体が衰退に向かったため、このブレーキも衰退してしまいました。
オーダーメイドの高級なロードレーサーやスポルティーフにおいては、
前はフロントフォーク、後ろはシートステイに専用の台座を直接ろう付けする事がよく行なわれましたが、
大多数を占める量産品の自転車では、アダプターを介してサイドプル・キャリパー・ブレーキと同じ取り付け方法をとるのが一般的で、
市販のセンタープルブレーキには、このアダプターが標準で付属するのが普通でした。
これは、当時のセンタープルには台座に共通の規格が無く、メーカーやモデルによって台座の形状や位置がまちまちであったために、
一度台座を直付けしてしまうとブレーキの銘柄を変更するのが困難になってしまうことと、
左右のブレーキアームが接近して重なる形で取り付けられるセンタープルブレーキでは、
アームが離れて取り付けられるカンチブレーキを上回る高い精度が要求されるため、
当時の生産技術では、量産車に直付け台座を与えるのは困難だったためだと考えられています。
●Uブレーキ
左右のアームが形づくる逆U字形の形状からこの名が与えられました。
これはVブレーキ同様、シマノ社の商標です。
●マウンテンバイク用
1980年代の後期に、マウンテンバイクにスローピングフレームが採用されるようになると、
従来のカンチブレーキでは左右に張り出していたカンチレバーの位置も低くなって、
ライダーの足の踵に接触するという問題が生じるようになりました。
この問題を解決するために、マウンテンバイク用のセンタープル・キャリパー・ブレーキとして開発されたのがUブレーキのはじまりです。
この時代には溶接技術の進歩により、量産車でも直付けの台座が与えられるようになりました。
でも、このブレーキには、タイヤに付着した泥や雪が詰まりやすいという、オフロード用自転車のブレーキとして致命的な欠陥があって、 少しでも泥詰まりを軽減すべく取り付け位置をチェーンスティの下に移すなどの対策を試みましたが、 これが更に整備性の悪化や、チェーントラブル時にチェーンがブレーキに噛み込むといった新たなトラブルを招くという悪循環に陥ったために、 マウンテンバイクの分野ではこの製品は数年で欠陥品の烙印を押され、 間もなくカンチブレーキにロープロファイル型と呼ばれた改良型が登場して前出の問題が解決されてしまったこともあって、完全に捨て去られてしまいました。
また、この分野での失敗の一因として、 後に登場したVブレーキが、すでに普及していたカンチブレーキと共通の台座位置をもっていたのに対して、 Uブレーキは専用の台座位置を必要としたからだとも言われています。
●BMX用
マウンテンバイクにおいては失意の退場を余儀なくされたUブレーキです。
1990年代に興ったフリースタイルBMXに活路を見いだすことになり、現在ではこの分野で最も一般的なブレーキとなっています。
他の車種では既にほとんど見られないこのブレーキがBMXで多用される理由として、 側面に向かって張り出す突起物がいっさい無いことがあげられます。
車上で激しく体を動かすフリースタイルBMXにおいては、突起に足などが引っ掛かれば致命的なミスに繋がるため、この特徴は極めて重要です。
また同じ理由で、フリースタイルBMXの後輪用Uブレーキは、フレーム構造に守られるようにリア三角の内側、
すなわちシートステイ下側かチェーンステイ上側に付いています。
チェーンステイ上側のタイプはメンテナンス性に優れていますが、25Tなど小さなチェーンリング(フロントスプロケット)を使用している場合、
たるんだチェーンがブレーキに干渉してしまうことがあるのです。
この問題を克服するためにブレーキアームの厚みを小さくした製品もあります。
フリースタイルBMXのブレーキには、微妙なスピードのコントロールよりも、
むしろ、車輪を瞬時にガッチリと固定する能力が求められます。
このためBMX用Uブレーキには、他のスポーツサイクルでは見られなくなりました。
そして、いかにもゴムらしい質感を持つブレーキシューが使われています。
これは光沢のある体育館の床で、ゴム底の運動靴が素晴らしくグリップするのと同じ原理を狙ったもので、
この原理を最大限に利用するために、CPリム(めっきリム)と呼ばれる鏡面メッキのリムが好んで使われています。
ただしリムとブレーキシューの接触面が汚れたり、雨で濡れたりすると極端に制動力が落ちることがこの組み合わせの欠点です。
特に水で濡れた場合には、思い切りブレーキレバーを握った状態でも、全く抵抗を感じずに走り続けられるほどです。
BMX独自の変種として、前輪用のUブレーキはアーチワイヤーとちどりを使わずに、
Vブレーキのように横から直接ワイヤーを繋ぐ方式になっています。
レバーを出発したブレーキワイヤーは、ステムの天井に開いた穴から入ってヘッドチューブ内のフォークコラムを貫通。
フロントフォークの又から出てきてループ状に急角度で上へ向かい、ブレーキ本体に横方向からつながる仕組みになっています。
これはハンドルを回転させるいくつかの技を行なう時に、ワイヤーが絡まり障害となるため、
これを排除すべく後輪ブレーキのためのジャイロと共に考案されました。
また後輪用にも変種として、ジャイロを使用する車体のみアーチワイヤーとちどりを省く方式があります。
この場合では2本のブレーキアームに固定されたワイヤーが、それぞれ別々にフレームに沿って伸び、
2本のままジャイロに繋がるという構造になっています。
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